272. 感情がないということ、小説「アーモンド」を読んで
皆さん、こんにちは。日本語の先生のりこです。
皆さんは本を読むのが好きですか。今何か本を読んでいますか。去年の2020年、たくさん本を読みましたか。私は、恥ずかしいんですが、去年は少しだけしか本を読んでいませんでした。言い訳になりますが、去年仕事をしすぎました。そして、休憩時間には韓国ドラマばかり見てしまっていました。ちょっと反省しています。
今年は去年よりもっと本を読みたいですね。そこで、新年、早速ですが、1冊本を読み終えました。そこで今日は、私が今年最初に読んだ本について話します。
本の内容について話すので、今日の内容は難しい。上級レベルです。頑張って聞いてみてください。サイトにはトランスクリプトもあります。
本のタイトルは「アーモンド」。韓国の作家ソン・ウォンピョンさんの作品です。私は去年から韓国の作家さんの本を積極的に読んでいます。日本語に翻訳されたバージョンを読んでいます。私は、韓国語の勉強をしています。韓国の小説を通して、韓国の文化がよくわかるから、韓国の小説をもっと読んでみたいと思っています。
さて、この本「アーモンド」は、日本のアマゾンジャパンで買った、ハードカバーの本です。日本で出版された本には、ハードカバーとソフトカバーという本があります。ハードカバーは、固い本なんです。例えば、単行本という本の種類は、小さくコンパクトなサイズで、表紙が柔らかいです。でも、ハードカバーは、表紙が固くて、単行本に比べると大きいし重たいです。
そして、ハードカバーの本には、もちろんカバーがあり、カバーの上には、「帯」と呼ばれるものがついています。この「帯」には、宣伝のためのキャッチコピーが書かれています。本の魅力を伝えるためなんです。この「帯」の内容を読んで、実際、本を買ってしまう「帯買い」をする人が多いそうです。だから、ハードカバーの本には必ず「帯」があり、そこには宣伝が書かれています。
さて、この「アーモンド」の「帯」にも、たくさんの宣伝が書いてありました。これがとても面白いので、まずそれを読んでみたいと思います。
2020年本屋大賞、翻訳小説部門、第一位
韓国で40万部、13カ国で翻訳
「涙が止まらない」と絶賛の嵐
全世代の心を打つ感動と希望の名作
全国の書店員さんから感動と絶賛の言葉、続々!
どうですか。聞くとかなり難しいと思います。ぜひ私のサイトのトランスクリプトも読んでみてください。サイトに、本の表紙の写真も載せておきます。
もう一度宣伝を読みます。
2020年本屋大賞、翻訳小説部門、第一位
韓国で40万部、13カ国で翻訳
「涙が止まらない」と絶賛の嵐
全世代の心を打つ感動と希望の名作
全国の書店員さんから感動と絶賛の言葉、続々!
いやー、これらの宣伝を見ただけで、これはものすごい本かもしれない、と思いませんか。だから、この「帯」の宣伝を見て「帯買い」してしまう人がいるんですね。
もうすこし詳しく解説すると、「2020年本屋大賞、翻訳小説部門、第一位」
これは、本屋大賞という、賞があります。日本全国の本屋さんのスタッフが自分で読んでおすすめしたい、売りたい本を選びます。この「アーモンド」という本は、外国の小説ですから、翻訳された小説部門で、おすすめ第一位になったということですね。
少しネタバレですが、簡単にあらすじを話してみます。主人公は、高校生のユンジェです。祖母、おばあちゃんですね、と、母と3人暮らし。ユンジェは、脳の、頭の中の、扁桃体(へんとうたい)という部分が小さく、発達が遅れています。そのため、感情がわからない少年です。つまり、好き、愛する、うれしい、悲しい、怖い、とか、そういう感情を理解できません。だから、他の人とうまくコミュニケーションがとれないんです。自分が怪我をしても、痛みを感じることができないんです。とても特別な少年なんです。
わかりますか?感情がわからない。自分の気持ちもわからない。他の人の気持ちもわからない。
そんな主人公のユンジェですが、ユンジェの母は、お母さんは、一生懸命ユンジェを育てます。母は、ユンジェに数学のドリルみたいに、感情を丸暗記させるんです。例えば、こういう時には、こういう反応しなさいということを覚えさせるんですね。
そして、ある日突然、事件が起きます。自分の15歳の誕生日に、目の前で一緒に住んでいた祖母、おばあちゃんと、母が、通り魔に襲われてしまうんですね。祖母は死んでしまいます。母は意識不明の寝たきり状態になってしまいます。そして、中学生のこの少年ユンジェは、一人残された状態で、高校生になっていくという話。さらに、この高校生活の中で、運命の出会いがあります。そこで、もう1人の男の子が出てきます。
どうですか。これは、感情がわからない主人公のユンジェと、逆に、激しい怒りと悲しみをもった、もう一人の少年、ゴニという男の子、2人の話です。とても悲しい物語なんですが、最後は希望が残る終わり方でした。
本当に、感情がわからない、どういう世界なんだろう。いろいろ考えさせられた本「アーモンド」でした。
はい、ということで、これは、ま、これが私の2021年、新年の一冊目でした。今は「コンビニ人間」という本を読み始めました。でも英語に翻訳された本を読んでいます。また読んだら感想でも話そうかなと思います。
それではまた。
早速(さっそく)immediately
出版する(しゅっぱん)to publish
宣伝(せんでん)advertisement, promotion
魅力(みりょく)attractiveness. charm
大賞(たいしょう)grand prize
絶賛の嵐(ぜっさんのあらし)extremely high praise, highly praised
心を打つ(こころをうつ)touch your heart
名作(めいさく)masterpiece
続々(ぞくぞく)one after another
解説する(かいせつ)to explain
脳(のう)brain
扁桃体(へんとうたい)Amygdala
感情(かんじょう)emotions
数学のドリル(すうがく)maths drills/workbook
丸暗記(まるあんき)memorise, learn by rote
事件(じけん)incident
通り魔(とおりま)random killer, random street
意識不明(いしきふめい)unconscious
寝たきり状態(ねたきりじょうたい)bedridden