116.旅行中に読んだ本「Heaven」
みなさん、こんにちは、日本語の先生のりこです。今日は私が夏休みの旅行中に読んだ本、読み終えた本。飛行機の中、電車の中、移動中に読んだ本について話したいと思います。
みなさんは、最近、本を読んでいますか。私は川上未映子さんの「Heaven」という小説を夏休みの読書として、選んで、旅行中に読み終えたんです。川上未映子さんの「Heaven」。面白いことに、日本語の本が手に入らなくて、英語、英語に翻訳されたバージョンで、英語で読みました。テーマはとても重いです。なぜなら、いじめ、いじめ。
とても読みやすいと思ったんですが、まずこの本を読むきっかけは私のコミュニティ、Japanese Togetherのコミュニティの生徒さんがこの本を読んだんですね。英語で読んで、そして日本語でも読んでみたいという話だったんです。テーマは重いけど、とてもいい本、とても考えさせられた本と聞いて、ああ、私も読んでみたいと思ったんですね。なぜなら、いじめ。私は、以前、Season 1のポッドキャストの中で中学生の時に「いじめられたんだ」ということを少しだけ話しました。とても、このいじめというトピックに興味があるんです。私もいじめられたからです、はい。
はい、そしてね、この本、英語で読んで、旅行中ずっと読んでいたので、本当にすぐに読み終えてしまったんですが。いや、本当に、本当に、重いです、暗いです。クラスメートから本当に陰湿で、ひどいいじめを受けている男性、男の子が主人公なんですね。
ちょっとネタバレですが、ある日、突然、この主人公の筆箱の中に手紙が入っていたんです。で、この手紙は「あなたと友達になりたい、私たちは友達になるべきだ」みたいな内容の手紙で、この主人公の男の子はびっくりするんですね。これも何かのいたずらか、いじめか、不安、不信感が出てくるんですが、でも手紙がどんどん届く。そして、この手紙を書いた人と実際に会う。会ってみると手紙を書いていたのは同じクラスの小島という少女だったんです。この小島という少女も主人子の男の子と同じようにクラスメートからひどいいじめを受けているんですね。として、同じいじめ、ひどいいじめを受けている者同士が仲良くなっていくんです。手紙のやり取り、実際に会って、出かけたり・・・・はい。
それが最初の頃なんですが、すごくね、読んだ時に、哲学っぽいというか、いじめへの考え方、何がいいのか、何が悪いのか。人として、何がモラルなのか、すごく考えさせられる本なんですね、内容なんです。日本では、いじめって、たぶん、よくあることなんですよね。うん、いじめをテーマした漫画だったり、ドラマだったり、映画だったり、あるじゃないですか。実際に、私もいじめを受けた。ま、私はそんなにひどくはなかったですね。暴力を受けたことはなくて、シカト、無視をされたんですね。ある日突然、グループの中に入れてもらえなくて、誰も私の話を聞いてくれないというか、話しかけてくれない、無視された、ということがありました。
実はですね、私の妹も、中学校、何年生の時かね、ちょっと覚えていないんだけれども、いじめを受けたことがあって、妹の場合はもうちょっと陰湿でした。なぜなら、教科書、妹が学校においていた教科書がびりびりに破られていた。うん。でね、私の時は、私、ま、どうでもいい強い性格だったので、まあ、いいか、一人でもいいと思って、全然先生にも言わなかったんだけど、私の妹のケースの場合は、やっぱり教科書がびりびりに破られていたので、先生が気づいてですね。先生が、まあ、私の親を呼びました。でも、実際、誰がびりびりに破ったのか、誰がそんなことをしたのかまで分からなくて、まあ、そういういじめみたいなことがしばらく続いたのが妹のケースだったんですね。
で、小説、このHeavenの場合は、まあ、力の暴力のいじめをたくさん受けているんです。この男の子も女の子も。たとえば、何か変な液体を飲まされる、無理やり飲まされるとか、なんか、ロッカーの中に閉じ込められるとか、殴ったり、蹴られたり、頭をどつかれたり、というような暴力をたくさん受けているんですね。
そして、物語の後半には、本当にこれが一番ひどい、リンチ、リンチです。血だらけになるぐらい殴る、蹴るをされて、でもこの主人公の男の子は何もできないんです。病院には行くんだけど、あの、「自転車にぶつかった」だったかな。あの、自分で怪我をしたみたいな言い訳をして、このリンチを受けている、いじめを受けたということ、誰にも言わないんですね。最後まで、実は、誰にも言わなくて、最後の最後で、自分の母親にいじめを受けていたんだ、受けているんだということ、告白するんですけど、それは本当に最後の最後なんです、はい。
だから、物語の最初から、後半まで、ほとんどが陰湿ないじめの描写が続いて、私は胸が苦しくなりました。そして、このいじめへの考え方も、この男の子と女の子の小島の間で違うんですね。さらにはいじめをしている、悪い男の子の話も出てくるんですが、彼はいじめを正当化しているんですね。うん。この三人のそれそれの立場の考え方がとても違っていて、一言で、いいか、悪いか、善か悪かで考えられない。深い内容になっています、はい。
いじめをするのが悪い、はい、悪い、私もそう思うんだけれども、当事者の間ではそう単純じゃないんですね。そして、この女の子はですね、いじめにも意味がある、すべてのものに意味があるみたいな考え方をするんです。だから私たちがいじめられているのにも意味があって、この経験が何か将来につながると考えている。うん、何か、深い深い考えがそこにはあるんだけれども私にはなんだが理解できないというか、胸が苦しくなりました。自分がいじめられた経験が蘇って、苦しい気持ちになって、最後まで読み終えたという小説でした。
読みやすいから、私、あの、JLPTのN2以上のレベルの人におすすめしたいんですけれども内容がね、ちょっと、ちょっと、暗すぎて、はい。なので、あの、そういう内容が暗くても読んでみたいという方にはおすすめしたいと思います。そして、タイトルが「Heaven」、天国。最後の最後はどうなったよくわからない終わり方なんですね。でもなんとなく、この主人公にとって、未来が明るくなっているような、ま、ちょっと、もう一つのポイントは話さないんですけど、ね、大きな出来事がもう一つあるんですが、これは話しません、ネタバレになるのでね。でもそれを考えると最後の最後で、この主人公は自分の「Heaven」を探すことができるんじゃないかなあ。何か、明るい未来が残されているような終わり方でした。
あの、みなさん、どの世界にも、どの国にも、いろいろな社会に、権力がある人とない人。強弱と弱者。選ばれた人とそうでない人。なんか、いろいろ、社会は分かれていますよね。そういう話なんです。はい。あの、主人公はいじめられるという立場に選ばれてしまって、弱者として描かれていて、そこにはいじめる強者がいて、権力を持っている者がいるわけですね。
そして、主人公の「僕」は、実は障害を持っているんですね。この障害、選ばれた人と言いうべきか、障害を持つ者と持たざる者。障害者と障害者じゃない人たち。いろいろな社会の現実。うん。あの、本当に哲学的で、深く考えさせられる本でした。川上未映子さんの「Heaven」。みなさん、興味があったら、英語訳もあるので、英語バージョンで読んでみるのもいいと思います。はい、今日は以上です。
Special Thanks go to Donna, トランスクリプトを作ってくれました。Thank you!