135.おすすめの本「星の子」

皆さん、こんにちは。今日は、私がおすすめできる本ですね、日本の小説。今村夏子さんの書いた「星の子」、「星の子」について紹介したいと思います。JLPTのN3、N2、のレベルでおすすめできるかな。はい。本当にね、読みやすいけれども、話は本当にいい。ディスカッションできる。本当に語りたい。そう思わせるようなお話、「星の子」。



まずはネタバレです。これね、物語の主人公は、林ちひろちゃんっていう中学三年生の女性、女の子なんですね。このちひろちゃんは、生まれつき、体が弱かったんです。未熟児で生まれて、で、本当にいろんな病気に子どもの頃からなって、そして原因不明の湿疹に苦しむんですね。で、ちひろちゃんの両親は、もういろんな病院に連れていって、お医者さんが勧める薬、あらゆる民間療法、本当に試してみたんだけれども全然効果がなかったんです。で、困り果てたお父さんがですね、勤務先の人に相談して、この勤務先の同僚が「金星の恵み」っていうね、まあ、私からしてみれば、読者からしてみれば本当におかしい、変な水をもらって帰って、そして、同僚に言われたとおり、その水でちひろちゃんの体を洗うんですね。



すると、不思議なことにちひろちゃんの夜泣きがなくなって、2ヶ月目には、その湿疹がなくなって、病気が治ってしまったんです。これを機にですね、両親は、この水、なにかが違う!、その水を作っている新興宗教にハマっていくわけです。つまりこの会社の同僚もこの新興宗教のメンバーで、その同僚が勧めるまま両親もその宗教団体にハマっていって、そしておかしなことが続くんですね。例えば、この「恵み」という水は、聖水、聖水と呼ばれていて、この聖水に浸したタオル、タオルね、頭に乗せて生活するようになるんです。で、そうすれば、体の調子がいいとか、メンタル的に落ち着くとか、明らかに「嘘やろ、それ」って私から見れば思うんだけれども、そのように信じてしまっていくんですね。はい。で、どんどん、どんどん怪しい新興宗教にハマっていく家族の話。そして、それを中学生の立場で見るちひろちゃんの話なんです。



まず、本当に、これは日本の闇を描いていると思うんですね。実は、この新興宗教、変な宗教、今年日本でまたまた話題になりました。日本では、私が子供の頃から、この問題は常にあった気がする。私が覚えている限りは、昔々、オウム真理教っていう、これもカルトですよね、おかしな宗教が日本でテロを起こしましたね。はい。それだけじゃなくて、本当に色々宗教と政治が深く結びついていたり、あと、そういう新興宗教にハマって、お金をどんどん出して、経済的に苦しくなってしまって自殺するとか、そういう話はなんだかよくある、日本で。なので、この小説は、2017年に出版された本だけれども、日本の新興宗教の闇が描かれている。なので、これ、日本の現実ですよね。



日本は、皆さん、素晴らしい国だと思っていると思うけれども、なんか変な、暗い、闇の部分もあるわけです。それを描かれて、それが描かれているお話なんですね。で、読者、私たちから見れば、客観的に「なんで?」って思うんですよね。本当に辛くなります。どうして絶対おかしいんでしょう?どうしてこんなに信じていくの?それ以上ハマらないで、もう家族が壊れるからって本当に客観的に思うし、理解できないところが多いんだけれどもね。でも、この本の中の家族、ちひろちゃんの家族は、みんな幸せなんですよ、お姉さん以外は。



ちひろちゃんには、5歳年上のお姉さんがいたんですね。でも、このお姉さんは早くから、この宗教はやばい、家族はやばい、止めたいけどどんどんおかしくなっているお父さん、お母さん。そして、お姉さんは家出して、もう家に戻らなくなるんですね。はい。お姉さんだけは、そのおかしさに気づいた。で、ちひろちゃんも、なんとなく分かってきてる。あれ、これちょっとな・・・。でも、でも、ポイントはですね、このお父さんとお母さんとちひろちゃん、仲がいいんですよ。本当に。救われるのは、ちひろちゃんは本当によくある日本の中学生、ティーンエージャーで、恋の話もあるし、とてもなんか、ほのぼのしていて、コメディーみたいな面白い場面もたくさんあって、それがとてもバランスがいいんですね。暗い部分もあれば、なんか笑える部分もあったり。



あと、親子の会話、本当に普通なんです。お父さんとお母さんは本当にちひろちゃんのことが大好きで大切にしている、心配してる。たまたま新興宗教にはまちゃったけれども、でも、その三人は、本当に仲良しなんです。愛し合ってるんです。だから、そんな愛し合っていて、三人とも満足してる、三人にとっては幸せだ、平和だ、そんな家族を私たちは批判することができなくなるんですね。私は読み始めた時に、嫌悪感しかありませんでした。なんだよこの家族は、と。おかしいだろう、お姉ちゃんも家出するぐらい。なんなんだよと思ったんだけど、最後の最後まで読むと、私は批判できないなって思っちゃったんですね。だってこの三人は幸せだから。本当に下手をすれば、他の一般家庭よりも愛情が深い家族かもしれません。なので、ああ、赤の他人は、第三者の私は、この家族を「いい」、「悪い」、「気持ち悪い」って判断して、ジャッジすることはできないなって思ったんです。



そのぐらい、まあ、深い内容だったんですね。はい。なので、話としても本当に面白いし、あとね、読みやすいと思います。私の生徒さん、コミュニティの生徒さんが二人チャレンジしてるんですけど、二人ともとても面白いし読みやすいと言いました。なぜなら主人公がちひろちゃんだからです。中学生三年生の立場で物語が語られていて、中学生のちひろちゃんとお父さんお母さんの会話、ちひろちゃんと同級生、クラスメイトの会話、会話がたくさん出てくるんですね。なので、一文一文が短いし、とても単純な日本語で書かれていると思います。なので、おすすめできる、読みやすい。はい、「星の子」。



このタイトルの「星の子」は、どういうことなのかっていうのは、最後の最後まで読まないといけないかなと思うし、結論はないですね。この物語に結論はありません。ちひろ、まあ、この中学三年生のちひろは、これから高校に行って大人になっていくからね。大人になっていくちひろにどのような変化が現れて、この家族が今後どうなるのか、というのは私には分からないけれども、色々想像させられる終わり方でした。



「星の子」どうですか?読みたくなったんじゃない?はい。本当におすすめできます。この本は、私の2022年秋の読書チャレンジでも、推薦本として私のコミュニティに推薦させて、おすすめさせていただきました。はい。ちひろちゃんと一緒にね、考えさせられるお話です。新興宗教ね。それでもやっぱり私には無理かな、明らかに変でしょうって思うけど、でも、ちひろちゃんのお父さんお母さんのような立場だったら、本当に娘を助けたい。でも、何をしても助からない、病気が治らなかった。たまたま、この水がよかった、この「金星の恵み」っていう聖水を使えば、ちひろちゃんの体が治った。そういう状況であったら、もしかしたら、信じちゃうよね。なんかそういう気持ちもした。そこにはもう愛しかないんですよね。



はい。皆さん、もし読んだ人がいれば、皆さんの感想を聞かせてください。理解しようと思わなくてもいい。やっぱり変な話ですからね。ただ、単純に、これはダメでしょうっとは言えなくなるストーリー展開だと思いました。はい、今日ちょっと熱く語りましたね。以上です。

Japanese with Noriko

A fully qualified Japanese teacher and also the creator of the Japanese podcast, LEARN JAPANESE WITH NORIKO.

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