192.一期一会 - 京都の奇跡

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皆さんこんにちは、日本語の先生のりこです。


今日は皆さんにとってもいい話、すばらしい話をシェアしたいと思います。これは本当の話ですね。私の生徒さんが実際に日本の旅行中、京都で経験した話です。この生徒さんは私のプライベートレッスンの生徒さんで、シンガポールの方です。旅行から帰ってきたばかりのレッスンでこのすばらしい話を私に話してくれたんです。で、ぜひポッドキャストで話してもいいですよって言ってくださったので、こうやって皆さんにもお話ししているわけですね。うまく話せるかどうかちょっと複雑なストーリーなんですけど、頑張って説明してみたいと思います。


この方は料理家です。料理を作る専門家。なので、料理を盛り付ける器とかお皿に興味がある方なんですね。で、京都に清水焼、「清水焼」という京都を代表する伝統芸能品(伝統工芸品が正しい言い方)があります。まずは京都のデパート高島屋の焼き物屋のコーナーに行って、その作品を眺めていたそうなんですね。で、色々もっと詳しく知りたいから、高島屋のスタッフに声をかけて質問したところ、そのスタッフはあんまり詳しい説明できなかった。あまり知識がなかった。


この生徒さんはちょっとフラストレーションを感じて「えー、もっと知りたいのに」と思って、「えー、どうしよう」と思ったときにですね、スタッフが名刺をくれたんだそうです。その名刺には清水焼の窯元の作家、作家っていうのかな、アーティストの名前が書いてあって、住所が書いてありました。で、この生徒さんはですね、「じゃあ、この名刺の住所の場所に行ってみよう。直接行けばもっといろんな話が聞けるんじゃないか」と思ったそうなんです。ただですね、この住所を見つけるのがとても大変だったみたいなんですね。


まずは電車の駅の駅員さんに「これどうやって行きますか」って聞いたそうなんです。でも駅員さんもたぶんよくわかってなかったのか、また間違った説明をしたのか。なんとなく自信がなかった。聞いても。で、乗り継いで乗り継いでバスに乗ります、この生徒さん。で、バスに乗ったときの隣の席に70歳ぐらいの高齢者の女性の方が座っていました。この方はですね、私の生徒さんの持っていた、たぶん、携帯かなにかの地図を覗き見したんですね、横から。「あなたここに行くんですか」みたいなことで声をかけられたそうなんです。


で、私の生徒さんは日本語で、日本語でもちろん、頑張って「はい。ここに行きたいんです」って言ったら、たぶん、この親切なおばあさんはですね、たぶんちゃんとこの生徒さんが、私の生徒さんが行けるかどうか心配になったのか、「いや、次の駅でちょっと降りましょう」、「次のバス停で一緒に降りてください」と誘われたそうなんです。で、あのおばあさんがとても親切な感じだったので、この生徒さんは一緒に次のバス停で降りて、そしておばあさんはそのバス停の近くにある交番、お巡りさんがいる交番に連れてってくれて、お巡りさんに「これどこにあるんですか」と聞いてくれたそうなんですね。


で、このおばあさんも詳しく「この方はシンガポールから来て、この清水焼、ぜひ見たいと言ってる」、「この場所見つけてあげてください」。それを聞いたお巡りさんは地図を出してきて「あ、こうだ、こうだ」調べてくれて、そしてちゃんと行き方を調べてくれたそうなんです。すごいですね。で、ここからがすごいんです。ここだけで終わらない。


この高齢のおばあさんはその清水焼の場所まで、その場所までずっと一緒に連れて行ってくれたそうなんです。その間日本語で話をしながら。で、何とかようやくその日の夕方頃、そのオフィスに着きました。で、オフィスをノックすると社長さんやスタッフさんが出てきた。この清水焼のお店の名前ですね。ここ、私の生徒さんが訪れたのは「楽只苑」、「楽只苑」を宣伝のために言っておきます、なぜなら、この生徒さんはこの楽只苑の社長さんやスタッフさんにとてもお世話になったからですね。感謝しても、感謝しきれないぐらいお世話になった。この楽只苑。


で、着いたときにね、「よかった!着いた!」そして社長さんにこの高齢者のおばあさんは説明してくれたそうです。同じ説明、「この方はシンガポールの方で」、「デパートで見つけた名刺を頼りにここまでやって来ました。ぜひここからはあなたがしっかりとこのお客さまのお世話をして説明してあげてください」、すばらしいおばあさんですね。


そしてこの生徒さんはおばあさんにお礼を言いたかった。名前を聞きたかったけど、このおばあさんは「いやいやいや、お礼なんていらない」、「名前を名乗るほどでもない」と言って、「私の仕事は、役割はここまでです、さようなら」と言って、その場を立ち去ったそうなんです。なんて素敵なかっこいいおばあさんなんでしょうか。私も年を取ったらそんなおばあさんになりたいと思いました。何か見返りを求めて人を助けるんじゃない。本当に困っている人の手助けをしたい。そしてわざわざ日本に来て、こういうローカルなところに行きたいという観光客のサポートをしたい。その素敵なおばあさん、見習いたいです。で、ここでまだ話は終わらないんです、皆さん。


そこから、今度は会社の中のオフィスの中に入って、でもそこは展示場ではなかったそうなんですね。本当にオンラインショップのウエアハウスみたいなとこで、でもたくさん見たかった食器がありました。で、社長さんやスタッフさんは約2時間ですよ、約2時間、もう仕事が終わる時間なのにいろんな食器を見せてくれて、「これはこうです」と説明してくれて、そして生徒さんはいくつかその場で食器を買ったそうなんです。でね、もう夜の6時7時、7時ぐらいになったのか、分からないけど、夜遅くなってきましたね。もうみなさん終わる時間です。


で、そこで面白いことがあったんですね。社長さんはある一人のスタッフさんにこの私の生徒さんを車で、生徒さんが泊まってるAirbnbまで連れて行ってあげてください。送ってあげてくださいと頼んでくれたそうなんです。たまたま、そのスタッフの帰る方向が私の生徒さんが泊まっているAirbnbの行き先と同じ方向だったんですね。途中だったから。それでもですよ、仕事が終わった最後に、この外国人の方、全然知らない方を車で送ってあげる。なかなかできることではありません。


で、この生徒さんは最後車でAirbnbの宿泊先まで送ってもらったそうなんですね。で、その生徒さんは最初から最後までずっと日本語で会話をしたそうなんですけど、この最後の車の中で生徒さんはそのスタッフの人にね、「今日は本当に、本当によかった」と。こんなことがあるのかっていうぐらい、いろんなことがあって本当にうれしい。でもこういう時に日本語でどう表現したらいいんですかって聞いたそうなんですね。


私はね、この話を聞いたときに「これはご縁がある話だ」、または「奇跡に近い話だ」。そして一番いい言葉「一期一会だ」。「一期一会だ、これは」と思ったんです。全てが繋がるじゃない。最初にデパートに行って、スタッフの人があんまり説明できなかった。だから名刺をもらったわけです。そこからスタートして。そして名刺をもらって「行ってみよう」と思った生徒さんもすごいし、そして、バスに乗って隣に乗っていたそのおばあさん、そのおばあさんが隣に乗っていたのも奇跡、ご縁!一期一会。そして、ようやくたどり着いて社長さんたちと色々お話しができたのも全て一期一会じゃないですか。


で、車の中のこの運転していたスタッフの人はね、「あ、日本人だったら『ラッキーだ』って言うよ」って教えてくれたそうなんです。確かに、ああ、今日はラッキーな一日だったね。一期一会って言ってもいいんだけど、ちょっと重い言葉なので、ちょっとカジュアルな感じで「ラッキーな一日」。ということで、この私のプライベートレッスンの生徒さんは京都の奇跡、一期一会、ご縁があったわけです。そしてものすごくいい人に巡り合えて、出会えてラッキーな一日を過ごしたという思い出話を今日シェアしました。


多分ね、皆さんも日本の旅行中こういうこと、たくさんあるんじゃないかなと思うんですよね。びっくりするような、びっくりするぐらい親切なやさしい日本人、本当にいます。そして皆さんがそういう日本人の人に助けられたということ、多分たくさんあるんじゃないかな。もしそういう一期一会のような「ラッキーだった」っていうようなストーリーがあれば、ぜひ私とシェアしてほしいと思います。


それでは、今日は以上です。皆さんの日本でのラッキーな経験、一期一会の経験をお待ちしております。


Japanese with Noriko

A fully qualified Japanese teacher and also the creator of the Japanese podcast, LEARN JAPANESE WITH NORIKO.

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