32.ノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読んで
みなさん、こんにちは、日本語の先生のりこです。今日は久しぶりに私が最近読んだ日本語の本について話します。本について話すのは本当に久しぶりだと思います。メインのポッドキャストSeason1で、最後に本について話したのは、多分、小説「コンビニ人間」だったと思いますね、はい。実は私のPatreon限定のポッドキャスト、おまけのポッドキャストExtraでは、いくつか日本語の本について話していたんですが、メインのポッドキャストでは久しぶりです。
さて、今日話すのはノンフィクションです、ノンフィクション。とても話題になって、ヒットした、売れた本なんですが、本のタイトルは「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、もう一度、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」というタイトルです。作者はブレイディみかこさん。ブレイディみかこさんは日本人なんですが、アイルランド人の男性と結婚して、今イングランドに住んでいます。イギリスのイングランドに住んでいる。息子は一人。中学校に通い始めた息子の話なんですね。ノンフィクションです。
Amazon Japanで、私はKindleで読みました。ページに行くとお試しということで、最初のページを読むことができるので、興味がある人は是非そのページを読んでみてください。ノンフィクションだし、難しい内容なんですが、私は面白く読めました。
そして、日本でもノンフィクション本、大賞受賞、ね、宣伝のマーケティングのメッセージは、「本屋大賞ノンフィクション本、大賞受賞、60万人が泣いて笑って、感動した大ヒットノンフィクション」と書かれてあります。ものすごいですね。そして、Amazon Japanに書かれてある、あらすじを簡単に読みますよ。これはAmazon Japanに書かれてある文章です。行きます。
「人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ。優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー」
どうですか。面白そうですよね。
私がこの本を読むきっかけがありました。Youtubeで、私は、時々、有名な中田敦彦さんのYoutube大学というチャンネルを見ています。彼はですね、よく本のレビューをするんですね。そして、彼がこの本についてレビューをしていて、とても熱く語っていた、もうこれは絶対読むべきだ!みたいな感じで、お話をされているのを見て、影響を受けて、私も読んで見た、というのが、私がこの本を読むきっかけです。
あとは、私も、北アイルランドだけれどもイギリスに住んでいます。みなさん、UKという場所はとても政治的に面白い場所で、知っていると思いますが、イングランドとスコットランド、ウェールズ、北アイルランド、この四つの国が一緒になって、イギリスなんですね。はい、私はその中の北アイルランドに住んでいるんです。ですから、この本に書かれていることはとてもよく分かる。普段の生活の中で感じていることがたくさんあるんですね。
この「ぼく」というのはブレイディみかこさんの息子なんですね。息子さんはとても優秀で、真面目で、学力も高い。小学校は、その市の学校ランキング1位の学校に通っていたんですが、中学校に上がる時に、なぜか息子は、その地域で一番悪い、学力が低い、最底辺校に行きたいっていうんです。それを聞いたね、みかこさんはびっくりするんです。ええ?あんなに雰囲気が悪い、学力が低い学校に行くの?
どうして息子がその学校に行きたくなったかというと、見学なんですね。学校見学で、その学校はいろいろな音楽、バンドに力を入れていて、ね、見学をしに来た学生の前で、バンドの音楽を披露するんです。この息子は音楽に興味があったから、ああ、ぼくも楽器を弾きたい、バンドで演奏したいと考えて、その学校に入学することになるんですね。
そして、入学するとやはりいろいろな問題が出てきます。この学校には貧しい、白人の子供が多く通っているんですね。そこで1つ大きな問題が紹介されます。それはイギリスでの大きな問題。ソーシャル・アパルトヘイト。貧しい人とお金持ちの人の住み分けがはっきりしているイギリス。この地域は貧しい地域、この地域はお金持ちの地域。そして、白人の中でも貧しい白人、お金持ちの白人、はっきり分かれているんですね。
この貧困の問題だけではありません。人種差別の問題がここに入ってきます。イギリスはいろいろな移民の国ですね。だから、いろいろな国から住んでいる、住み移った移民の人の中にも貧乏な人、お金持ちの人、分かれます。お金持ちの人はお金持ちの学校、ま、底辺学校に子供は入れません。そこでさらに教育の分断が起きるんです。教育の差も出てくる。これは今のリアルなイギリスの問題なんですね。
ま、ネタバレはここまでにして、私はものすごく考えさせられました。日本に住んでいた時にはですね、こういう人種差別、貧困の差、教育の、ま、レベルの差、あまり感じたことがなかったんです。ま、私は長い間学校の先生をしていたけれども、それでもだいたい教育レベルは同じでした。ある家庭は貧乏で、例えば、シングルマザーで、お金がないという家庭もありましたけれども、イギリスのようなことはなかったかなって思うんです。イギリスでは本当に貧乏な人は貧乏なんです。
そして人種差別もある。さて、ちょっと人種差別について話します。私は15年イギリスに住んでいて、ま、イギリスの永住権も持っていますね。だから、ま、永住権がある限り、ずっと住み続けることができるけれども、でもいつまでたっても日本人。いや、もしかしたら、アジア人、ね。あの、地元の人から見れば中国人なのか、韓国人なのか、日本人なのか、分からない、私はアジア人として見られていると思います。
実は私も差別を受けたことがあるんですね。これは忘れもしません。最初の年、多分着いてすぐの時ぐらいですね。その時、私たち夫婦はお金があんまりなくて、貧乏な地域のアパートを借りて住んでいました。はい、本当です。そして、よく行っていたスーパーもその地域の人がよく行くスーパーで、お金があまりない人たちがよく行くスーパーだったと思います。
そのスーパーで買い物をしていた時にですね。ある女性が私に多分言ったんだと思いますけれども、ま、日本語訳でいうと「国へ帰れ!、自分の国へ帰れ!」と言われたんです。私は一瞬、ええ?それって私に言ってるの?でも周りを見ると外国人は私しかいない。外国の顔をしているのは私しかいない。ああ、私に言ったんだ。私に帰れって言ったんだ。初めて直接、差別的な言葉を受けた瞬間で。その時、英語が苦手だったのに、なぜか彼女の強い北アイルランドのアクセントで言われた「国へ帰れ!」という言葉、ものすごく分かったんですね。そして、ものすごくショックでした。
あの後でもどうしたのかなあ。泣かなかったけれど、腹が立ったというよりは悲しかったのかなあ。なぜなら、そんなことを言われたのは人生で初めてだったからですね。はい、本当にそうです。
さて、このノンフィクション、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、ま、このタイトルにも、実は、深い意味があるんですが、ま、ここではネタバレになるから言いません。でもね、この息子は、ハーフでしょう。ね、最近ハーフの話題が多いけれども、日本人の母親とアイルランド人の父親から生まれた息子ね。そしてイングランドにずっと住んでいる。彼のアイデンティティについても語られているわけです。
ものすごくなリアルな話で、私は楽しめたし、いろいろ考えさせられたし、こういうことが経験できるのは、日本ではなかなか正直ないと思うんですね。ですから、多分、ま、最初の話に戻ります。Youtuberの中田敦彦さんは、是非日本人に読んでもらいたいと強くおすすめしたんだと思います。
さて、ま、私はKindleで読む時に、ね、印象に残ったフレーズ、言葉、ハイライトするんですが、その中で1つ、本当に、インスピレーションだったラインを、行を読みたいと思います。この場面は、この息子さんね、底辺学校に通っている中学校の息子さんとお母さんのみかこさんの会話なんですね。
で、無知、無知ということについて話しているんです。何も知らない、知識がないということ。で、この無知について話している時に、ね、無知って、バカ?バカっていうことなの?って言う話をしているんですけれども、あの、ブレイディさん、みかこさんが次のように言うんですね。いや、バカじゃない。いや、頭が悪いってことと無知ってことは違うから。知らないことは知る時が来れば、その人は無知ではなくなる。
もう一度ね、もう一度言います。無知について話していて、息子さんが「無知って、つまり、バカなの」って聞くんですね。するとお母さんのみかこさんはこう答えるんです。「いや、頭が悪いってことと無知ってことは違うから。知らないことは知る時が来れば、その人は無知ではなくなる。」、これは名言だと思います。
みなさん、深いでしょう。あの、難しいです。トランスクリプション、読みたかったら、私のPatreonになってほしいんだけれども、つまり、勉強すること、教育が必要ってことなんです。何も知らないから差別をする。何も知らないから、今の自分の価値観だけで物事を判断する。でも、そういう人たちが教育を受けて、世の中のことを知るようになれば、無知ではなくなる、だから教育が必要。つまり、こういう本が必要なんですね。
みなさん、ぜひぜひ読んでみてください。かなりおすすめの面白い本ですが、ま、日本語N1レベルだと思いますね。え、ただ、ノンフィクションなので、小説よりは読みやすいかなあと思います。はい、今日はここまで、私が最近読んだノンフィクション「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」について話してみました。真面目な話をしてみました。以上です。
Special Thanks go to Donna, トランスクリプトを作ってくれました。Thank you!