96.JLPTについて
皆さんこんにちは、日本語の先生のりこです。
今日も春のライティングチャレンジの内容なんですが、皆さんこれが最後です。最後のトピックについて。私たちは10個のトピックでライティングチャレンジをしたんですが、これは10個目の最後のトピックでした。その内容は「日本語学習をしているなら、JLPT日本語能力試験を受験するべきですか、JLPTについて自由に書いてください」というものだったんですね。
これは皆さん、色々な意見があると思うんです。皆さんの目標や夢によって、どうして日本語を勉強してるのかという理由によって違うと思うんですね。そこで今日は4人の生徒さんの作文を読んでいきます。それぞれ立場や夢や目標が違うので、みんなそれぞれ違う意見なんですね。ではまず最初の作文を読んでいきます。
これはカナダの生徒さんです。
JLPTの受験をするつもりがありません。私が日本語を勉強する理由はアニメとゲームを理解したいからです。ただの自分の趣味です。仕事や留学などの理由がなく、絶対受けなければいけないということはないです。今の私はアニメを大体90パーセント理解できます。アウトプットはちょっと苦手ですが、頑張って勉強しています。日本語の勉強は好きだから苦ではないです。
以上です。
はい、こういう生徒さんは世界中にいると思います。別に日本で働きたいわけじゃない、日本に住みたいわけじゃない。アニメが好き、アニメを理解したいんだ。だからそれが理解できればJLPTは必要ないという生徒さん。はい、もちろんいいですよね。
次の作文を読みます。次の作文、これはイギリスに住んでいる生徒さんです。
数年前から日本語学習熱が盛り上がっているような気がします。アニメや漫画をきっかけに日本語を勉強し始める人以外では、日本文化が好きだというのもあるし、外国語を勉強するのが好きな人もいます。その中の一つにJLPTを受けたいという人もいます。一生懸命勉強して日本語能力試験を目指す人は多いと思います。進学したい場合にはとてもおすすめというか不可欠なものです。日本語ができるというのを証明するためにJLPTに挑戦します。一方で、JLPTに合格したといっても日本語が話せるとは限らないという意見もあるようです。言語はコミュニケーションとされているので大事なのはやっぱりアウトプットです。話すことによってあるいは書くことによって自分の考えを相手に伝えるのが大切です。でもJLPTには話す、書く能力を測定するテストがないのでアウトプット能力は測りにくいのではないでしょうか。
以上です。
この生徒さんはとても上手な作文を書きます。とても上手に話せる生徒さんです。でもJLPTの受験をしていない。そうなんです。JLPTの試験、本当に受けたかったら受ければいいというのが私の意見ですけれども、受けなくてもこのようにアウトプットが上手な生徒さんもいるというのは、現実です。はい、アウトプット。言語はコミュニケーションが大切ということ。同感ですね。
次の作文です。この生徒さんはイタリアの生徒さんです。でもこの生徒さんは東京に最近まで住んでいました。行きますよ。
JLPTのテストを受ける理由は多いと思います。日本語の能力を上達させるため、また日本で働くためなど、他にも理由はいくつかあるかもしれません。でもテストのために勉強する過程は難しくて苦しいので、自分の目標をはっきり決めてそれを達成するために自分のモチベーションを引き出すほうがいいと思います。日本に住んでいた時にJLPTのN4、N3、N2のテストを受けて合格しました。私にとってJLPTは日本語を勉強する強いモチベーションでした。時々やる気が出ないこともあったり疲れてしまうこともありました。テストのプレッシャーに負けることなく毎日日本語を勉強し続けました。イタリアへ戻る前にN1のテストも受けてみましたが、ギリギリ合格できませんでした。でもJLPT N1に合格するのは諦めたくない。
以上です。
この生徒さんはJLPTの勉強をしています。でも、話す、アウトプットのこともたくさんしていて、書くのも話すのもとても上手な生徒さんなんです。自分の能力をアップさせる、試験に合格したい。そのためには日本語をもっと勉強しますから、日本語を勉強する時間も確保できる、日本語のレベルもアップする、この生徒さんにとってはいいモチベーションになっているんですね。はい、面白い作文でした。
最後。最後は実際にJLPT N1に合格している生徒さんの作文です。それでは読みます。
日本語の勉強を始めた頃、JLPTに合格することを目標にした。でも勉強すればするほどJLPTは全てではないと気づいた。それで教科書の勉強をやめて、アニメ、小説、マンガ、ゲーム、ニュース、生配信などのコンテンツをたくさん使ってきた。結果として去年N1を受けたとき、自分の日本語はすでにN1レベル以上だと実感した。そんな経験を踏まえ、JLPTを受験するべきかどうかという質問に対して私の答えは、必要であれば、だ。つまり、仕事や留学のため、あるいは自分の日本語能力を確認するため。だけど日本語を自分の生活の一部にし、日常的に生の日本語に触れる習慣をつけてから、JLPTにのぞむほうが意味があると思う。そうすると、自分の毎日の努力と成長が実感できるはず。
以上です。
この生徒さんの作文は非常に重みがあるなぁと思ったんですね。はい、この生徒さん、本当に長い間日本語の勉強をしてきたんです。最初はJLPT、そればっかり考えてたけど、そうじゃないって気づいたんですね。気づいてからは生教材、アニメ、小説、ユーチューブ、ニュース、いろいろな生教材を使って勉強してきたんです。で、実はこの生徒さん、もうすぐ日本に行くんですね。日本で仕事が決まってるんです。だからその就職活動のためにもね、N1を受験したんだけれども、そのN1を受験したときに、ああ、僕はこのレベルをもう越えているって実感できた。これは実際に長い間コツコツコツコツ努力をしてきたからこそ到達できる、達成感ですよね。
これは素晴らしい。だから皆さん、JLPTどうして受けるんですか、どうして日本語の勉強をしているんですか、やっぱりそこ、そこなんです。皆さんの目標、夢。目標、夢。どうして日本語を勉強しているかという理由によって、JLPTをするべきかしないかというのが分かってくるかなって思うんです。JLPTを受ければいいと私は思います。自分の能力を客観的に判断できる。でもJLPTだけが全てじゃない。試験だけが全てじゃないというのも事実なんですね。
これは非常に深いトピックです。もう一度、「日本語学習をしているならJLPTを受験するべきですか、JLPTについて自由に書いてください」ということで話してみました。皆さんの意見を聞かせてください。はい、今日は以上です。
Special Thanks go to Lydia,トランスクリプトを作ってくれました。Thank you!