141. できるだけ なるべく
皆さん、こんにちは。日本語の先生、のりこです。
実はですね。今はこれを話しているのは朝の7時半なんですね。ですから、私にとっては起きたばっかり。ヨガをして、朝ご飯を食べて、これから一日頑張ろうっていうところで、おはようっていう気分かな。皆さんは今何時ですか。
インスタグラムで質問をもらいました。今日はその質問に対する答えを話します。最近私はインスタグラムのほうで、norijpteacherというアカウントなんですけれども、JLPTのN4の言葉、言葉のビデオを月曜日から金曜日まであげています。週末はちょっとやってないんだけれども、月金で小さいビデオね、短いビデオをあげて、その中でN4の言葉を説明しているんですね。
先日「なるべく」という単語について話しました。そこで質問があったんです。「なるべく」と「できるだけ」違いますか。「なるべく」、「できるだけ」違いますか。いい質問ですね。今日はその答えを話していきます。
この二つ、「なるべく」、「できるだけ」、よく似ています。As much as possible、英語だったら多分それだけ。でも、やっぱり使う場面によってニュアンスが違ってくるし、本当に少しのニュアンスがあるんだね。ニュアンスの違いがあるんだね。それについて説明したいんだけれども。
「できるだけ」っていうのは「可能な限り」、「あなたの限界まで頑張ってください」、「努力してください」という意味があります。
それに比べて、「なるべく」っていうのはちょっと緩いんだね。「できれば」、「可能なら」、その限界までする必要はないんだけれども、「できればそうなるように頑張ってね」っていうちょっと緩い感じが出てくるんですね。
ですので、例えば、仕事でビジネスのシーンであなたは何か大きなプロジェクトを任されました。その時にあなたは「できるだけ努力します」というか、「なるべく努力します」というか。どっちのほうが適切だと思いますか。
「できるだけ努力します」と言ってください。「可能な限り私は全力を尽くします」という意味が出てくるのが「できるだけ努力します」。「なるべく努力します」、このビジネスのその場面で言っちゃうと、うーん、ま、そうなるように、できるように、できれば頑張るけど。ま、でも、ちょっと緩いね。緩いです。私だったら「できるだけ努力します」と言うと思います。
そして、ある人があなたにこう言いました。「できるだけ早く来てください」または「なるべく早く来てください」。これも少しニュアンスの違いが出てきます。
「できるだけ早く来てください」、できる限り、限界の一番早い時間に来てね。これが「できるだけ早く来てください」。でも、「なるべく早く来てください」は、ま、一番早い時に来る必要はないけれども、できれば早く来てねっていう感じになるんですね。そういうニュアンスの違いが分かるかな。
そして、この二つですね。「できるだけ」と「なるべく」なんですけれども、ビジネスのシーン、あなたが日本の同僚やクライアントや上司がいる、日本人の、ごめんなさい、日本人の同僚、クライアント、上司がいる、または日本の会社で働いている場合に、ぜひ使い方に気をつけてください。
私だったら、ビジネスでは「なるべく」は使いませんね。だって、ちょっと緩いでしょう。ニュアンス的に緩いし、ちょっとインフォーマルな印象を受けてしまうので、私は「できるかぎり」を使うと思います。そして、「なるべく」、もう絶対目上の人へ、上司には使いません。使わないほうがいいと思います。同じ理由ですね。「なるべく」はちょっとインフォーマルな印象を与えてしまうと思うんですね。ですから、ビジネスでは「できるだけ」を使うほうがいいでしょう。
さらに、もっといい言葉があります。「早急に」。また漢字を書いておきますね。「早急に」。「早急に」っていうのは、ま、できるだけ早くみたいなニュアンスなので、「なるべく早く」の代わりに使うことができると思うんです。「早急に」っていうのはビジネスでも使えると思うし。さらに、もっともっと緊急で緊急性が高くて、もう本当に大至急早くしないといけない、ま、今言っちゃったんですけど、「至急」。「至急」っていう言い方もあります。「至急お願いいたします」。これは「もっともっと早くしてください」というビジネスのいい言葉ですね。「早急」、「至急」。
はい、それでは、今日は「できるだけ」、「なるべく」、そして、「早急」、「至急」という言葉をちょっと話してみました。ビジネスでね、もし同僚があなたにメールで「じゃ、この資料をなるべく早く出してくださいね」って言ってきました。「なるべく」って書いてあるから、ま、ちょっとのんびりしてもいいかな、そんなにめちゃくちゃ急がなくてもいいかなって思うかもしれないね。でも、やっぱりビジネスの場合、日本人って何でも早くするのが当たり前だと思っているから、「なるべく」と書いてあるからと言って、ゆっくりしないほうがいいですよ。やっぱり頼まれたことは、できるだけ早くするほうが日本の会社ではいいと思います。
難しいね。日本人はね、はっきり言わないから、本当に急いでいるんだったら、「早急に」とか、「至急に」とか、「できるだけ」と言ってほしいけれども、同僚の人はちょっとニュアンスをそこまできつくせずに、「なるべく」っていうかもしれないね。でも、本当は早くしたほうがいいんです。だから、今日話した内容、特にビジネスの場面では、日本の会社の場面では、気を付けたほうがいいと思います。
はい、それでは、今日はここまでです。また明日。
ニュアンス nuance
可能な限り(かのうなかぎり)as … as possible [one can]
限界(げんかい)limit
努力(どりょく)effort
適切(てきせつ)appropriate, pertinent
全力を尽くす(ぜんりょくをつくす)to do one’s best
緩い(ゆるい)loose, relaxed
早急に(そうきゅう)promptly, immediately
至急(しきゅう)urgent, pressing
緊急(きんきゅう)urgency
Special Thanks go to Maria and Donna. トランスクリプトを作ってくれました。Thank you!