263. ピッチアクセントやイントネーションについて
皆さん、こんにちは。日本語の先生のりこです。
今日はイントネーション、発音、そしてピッチアクセントについて話してみたいと思います。皆さんは、日本語の勉強を始めてどのくらいですか。初級ですか。中級、上級ですか。皆さんの日本語の発音はどうですか。
もちろんきれいな、正しいイントネーションやピッチアクセントで、日本語を話せるほうがいいですよね。間違ったイントネーションやアクセントだと、相手に自分の言っていることが伝わらないかもしれないし、コミュニケーションがスムーズにできないこともあります。そして、日本語には、イントネーションの違い、ピッチアクセントの違いで、文や言葉の意味が違ってくることがたくさんあります。
でもね、私の個人的な意見は、日本語の勉強の初級の場合、こういうことはあまり気にしすぎないほうがいいと思います。完璧な発音やイントネーションで話そう、なんて思うと、失敗が怖くてなかなか話せない、いつまでたっても話す勇気が出ない、そして、会話が上手にならないと思います。
そしてあなたのゴールにもよります。日本の会社で働きたいなら、面接も日本語でありますよね。その場合、やっぱりある程度、発音やイントネーションが正しくないと、面接で落ちてしまいます。
でも、誤解しないでくださいね。ピッチアクセントやイントネーションはどうでもいい、勉強しなくていい、なんて言っているのではありませんよ。
ちょっと例を話します。
インターネットのある記事で、日本語の面白い会話を見つけました。それをちょっと読んでみます。どんな会話をしてるか想像してみてください。AさんとBさんの会話です。
A:きってください。
B:え?何を切りますか?
A:いいえ、きってください。
B:ああ、切手ね!切手は郵便局で売ってますよ。
A:・・・いいえ、きってください、こちらに・・・
B:ああ!来てください、か!
以上です。わかりましたか。AさんはPlease come here 来てください、と言いたかったようですね。でも、最初に、切ってください Please cutと言ってしまいました。次は、切手ください。Please give me a stampになってしまった。だから、Bさんはちょっと困りました。Aさん、何を言っているんだろうって。
でも、Bさんは、最後にはAさんの言いたいことがわかったんです。なぜなら、Aさんは「きってください、こちらに」と言ったんです。そう、この「こちらにHere」っていう言葉で、BさんはAさんの言いたいことがわかることができました。
確かにAさんの間違いのために、コミュニケーションがスムーズにいかなかったし、Aさんも恥ずかしい思いをしたことでしょう。Bさんもイライラしたかもしれない。うん、こういう間違いはないほうがいいに決まっています。
でも、実は、文脈で、何か他の言葉がヒントになって、自分の言いたいことが相手に結構伝わるものなんですよね。
もう少し例を言います。
さっきの会話のように、切ってください。切手ください。全然意味が違いますね。でもひらがなで書くと同じ文です。
雨(あめ)、飴(あめ)のような言葉もたくさんありますね。雨、飴。雨が降る。飴をなめる。この2つの意味の違いは何でしょうか。私のトランスクリプトを読んで、漢字を見て、意味の違いを確認しておきましょう。
あと、「ええ」と「ええ!」。「ええ」は「Yes はい」という意味。「ええ!」だと、驚いた感じ。「本当ですか?」みたいなニュアンスになりますよね。だから、同じひらがなで書いても、イントネーションによって意味やニュアンスが変わります。
はい、だから、やっぱり日本語の特徴として、ピッチアクセントやイントネーションで意味が違ってくる、ということを、知識として知っておくべきです。
さて、どうしても正しいイントネーションやピッチアクセントを勉強したい、という人もいますね。その人には、まず、私は、シャドーイングをお勧めします。何かシャドーイングの教材を買ったり、自分のレベルにあったオーディオ教材で、そのオーディオに合わせてシャドーイングをするのをお勧めします。そして、その時に、自分の声を録音してください。その録音とお手本の教材オーディオと比べてみるのがいいです。
あとおすすめは、有名なYouTuberで、日本語のピッチアクセントを教えているDogenさんのビデオです。お金を払えば、彼のPatreon で勉強もできます。
さらには、ポリグロットのSteve Kaufmannさんも言ったように、聞き取れない音は話すこともできません。だから、ビギナーのときは、たくさん日本語の音を聞くのが大切ですね。たくさん聞いていく中で、正しいピッチアクセントも身についていくと思います。
私は以前スウェーデン語の勉強をしていたときに、ITALKIの先生とレッスンをしました。その先生は、私の発音が悪いということで、発音の練習ばかり、レッスンの中でさせました。発音の練習は大切だけど、1時間ずっとそればっかりだったんです。私は本当に嫌になりました。自信もなくなりました。その先生とのレッスンは2回で辞めましたね。
私のITALKIのレッスンは、ピッチアクセントやイントネーションの間違いで、聞いている人に誤解を生む、または、相手の人がわからない、そういうコミュニケーションに支障をきたす可能性がある場合のみ、発音の指導をしています。
つまり私が言いたいのは、ピッチアクセントや発音は大切だけれども、こだわりすぎるのはどうかと思うんです。会話の練習をしたいとき、自分が言いたいことをどう言うか、伝えるか、が優先されるべきだと思います。
皆さんはどう思いますか。
はい、それでは今日はここまでです。じゃあまたね。ばいばい。
気にする(きにする)to care about, mind
失敗(しっぱい)failure
勇気(ゆうき)courage, bravery
ゴール goals
誤解する(ごかい)to misunderstand
切手(きって)stamps
スムーズ Smooth
いらいらする to feel frustrated
いいに決まっている to be surely better to do something
文脈(ぶんみゃく)contexts
雨(あめ)rain
飴(あめ)candy
知識(ちしき)knowledge
お手本(てほん)a good example
誤解を生む(ごかいをうむ)to cause a misunderstanding, to mislead
支障をきたす(ししょう)to disrupt, to interfere with