137.本を読んで新しい言葉を学ぶ:「面食い」「無神経な人」
皆さん、こんにちは。日本語の先生のりこです。今日は2022年10月9日日曜日午前11時を回ったところです、皆さん。私は今朝日曜日なのに早く起きました。早く起きて朝の7時から日本で開催された日本語の先生のためのワークショップに参加したんですね。はい、早起きをした甲斐がありましたよ、皆さん。
あの、先日もシェアしたと思うんですけれども、私は最近ね、毎月こういう日本語の先生のためのワークショップに参加しています。日本語のワークショップだけではなくて、イギリスやヨーロッパで開催される言語の先生を対象にしたセミナーなんかもよく参加しています。
自分がわかっていることを確認することもできるし、新しい知識や情報も学ぶことができる。そして、どんどんどんどん色々なこと学んでいかなきゃ、いい先生にはなれない、自分のキャリアの幅を広げることができないと痛感しています。だからこそ、このような機会があれば、そして、参加できるなら、お金を払ってでも勉強しようかなと思っている今日この頃です。ということで、今日も朝からいろいろなことをディスカッションして、勉強できて、情報をシェアしあって、いい朝だったなと思いながら、今これを話しているところですね。
はい、今日のテーマは私の読書チャレンジです。最近皆さん、どんな言葉、フレーズ、文法、勉強しましたか。私の読書チャレンジでは、コミュニティでやっているんですが、9月の末から10月の後半にかけて、4週間にかけて、行われています。今、第2週目が終わったところなんですね。そして、参加者の皆さんは毎週自分が読んでいるコンテンツや本から、どんな新しい言葉を学んだか、その経験をシェアしなければいけないんです。
私のメンバーさんがシェアしてくれた最近学んだ言葉やフレーズを今日は4つ取り上げたいと思います。私が本当にこの読書チャレンジをやってよかったな、まだ2週目が終わったばかりなんですけど、あ、やってよかったなって本当に思っているのはここですね。もう、皆さんが教科書やJLPTの本では学べないフレーズを自然に学べる、コンテクストの中でそういう新しい表現を感じて、学ぶことができる。ここに、コンテンツを読む、本を読むことの大切さがあるんですね。それを私のメンバーさんが、毎週毎週、毎日毎日、経験してくれているのがわかります。あ、このチャレンジをやってよかったな、って本当に思ってるんですね。
はい、今日は4つ取り上げるんですが、1つ目は「かける」という動詞ですね。この生徒さんはアメリカに住んでいる生徒さんで、Amazonでも買える、けっこう有名な本かな、「Read Real Japanese」というフィクションの本からこの表現を選んでくれました。これはですね、Short Stories by Contemporary Writersということで6人の作家さんのショートストーリーを集めている本なんですね。そして、ふりがなもあるし、英語の説明もある、とても親切な本なんですが、その中に「多和田葉子」さんが書いた「かける」というお話がでてきます。
「かける」っていう動詞はとても面白くて、いろいろな表現ができるんですね。例えば、アイロンをかける、電話をかける、腰をかける、椅子に腰をかける、ま、もっとありますね。もっともっと、「かける」を使った表現がでてきます。皆さん、いくつ言えますか。それでは、実際にこの本の中の最初の部分を私は朗読しますから、この中だけでも、たくさんの「かける」がでてきます。どれだけ聞き取れるか、テストしてみてください。それでは最初の部分、朗読します。
「かける」多和田葉子
「枕にカバーをかけ、ブラウスにアイロンをかけ、掃除機をかけ、洗濯機をかける主婦の仕事にはあまり縁のない私でも、朝食のトマトには塩をかけ、原稿を書くためにメガネをかけ、椅子に腰をかける」
ほら、たくさん出てきたでしょう。この生徒さんは、あ、こんなに「かける」って使えるんですね。新しい発見をしたということで、シェアしてくれたんです。とても面白い発見でした。
次の生徒さんはカナダに住んでいる生徒さんで、「赤毛のアン」を読んでいます。その中で、「有頂天」「有頂天になる」という表現を学んだそうです。有頂天。いい気になる、何かを達成して、その喜びで我を忘れる、そんな感じでしょうか。なにか得意なことの気持ち、得意なことが絶好調、絶頂期になるという感じかな。
うまく説明できたでしょうか。例えば、これ、ネットで見つけた例文ですけれども、何かテストがあって、で、同級生の、クラスメートの田中くんが100点をとったんですね。クラスで一人だけです。田中くんは、クラスで一人だけ、難しいテストで100点をとったから、有頂天になっている。これは、実はコンテクストによって、ちょっとネガティブなニュアンスにもなりますね。例えば、私がですね、「あ、田中くん、ね、ちょっとテストで100点とったからって有頂天になっているよね、嫌な感じ」、こんなふうにいうと、ものすごいネガティブな感じに聞こえますよね。
はい。え、次の生徒さんはSatori Readerを読んでいます。Satori Readerで「恋人」という話を読んでいる、カナダの生徒さんなんですが、この生徒さんは「もう少しVするところだった」「もう少しでVするところだった」という表現を勉強したそうなんです。例えば、どんなふうに使えますか。自転車に乗っていました。自転車で転んでしまったんですね。で、その道は交通が激しい、たくさん車が通る道で、もう少しで車にひかれるところだった。もう少しで、車にひかれてしまうところだった。こういうふうに使うんですね。
そして、3つ目「面食い」という言葉です。この生徒さんはドイツに住んでいる生徒さんで、私が先日紹介した小説「星の子」を読んでいます。「星の子」の中で、学んだ言葉。「面食い」、面はお面の「めん、面」、いい面と悪い面があるの「面」、食いは、食べるという漢字。面食い。これね、とても面白い表現で、面食いとは顔立ちがいい、見た目がいい人ばかりを好む人のことなんです。顔や顔つき、見た目、格好いい人、美人な人を好む人のこと。
私今、おばさんで、今は性格重視ですけど、若い時、中学生の頃なんかはやっぱり見た目、見た目が大切だったかな。実は、今でも、K-Popのアイドルとかさ、韓国ドラマの俳優さんとか、やっぱり顔立ち、顔を見てしまいますよね。そういう意味では、私は今でも、面食いかもしれません。これ、面白いね。なぜなら、「星の子」っていう小説は主人公が中学生だから、やっぱりこの中学生の女の子は、あの年頃ですから、面食いなんですよ。見た目で選んじゃう。格好いい人を好きになっちゃうわけなんですね。
最後は、フランスに住んでいる生徒さんが読書を通じて学んだ言葉「無神経な人」、「無神経な人」って、周りの人の気持ちを気にしないで、自分本位の発言や行動をしてしまう人のことです。私は「無神経な人」が苦手です。
以上なんですが、このようにコンテンツや小説を読むことで本当に新しい表現をたくさん学べるんです。だから、皆さんも、ぜひ、読んでください。皆さんが文法の勉強で忙しいっていうの、わかるんだけれども、そうじゃないんだよね、実は。たくさん聞く、たくさん読む、というインプットは本当に大切で、たくさん読めば読むほど語彙力は上がると思います。
それでは、今日は最近どんな言葉を勉強しましたか、というトピックで私の読書チャレンジに参加しているメンバーさんが学んだ表現をシェアしました。はい、今日は以上です。またね。
Special Thanks go to Karen, トランスクリプトを作ってくれました。Thank you!