182.おすすめの本『カラフル』
皆さんこんにちは、日本語の先生のりこです。
今日は私のおすすめの本「カラフル」について話しますね。話していく前にですね、何度も何度も言いますが、私のこのポッドキャストを聞いてくれている皆さんの中で、または、コミュニティの中で本当に本が好きな人たくさんいるんですね。
去年私が読んだ小説で今村夏子さんの「星の子」、「星の子」について話しました。そのエピソード、とてもいいリアクション、反響がありまして、たくさんの人が「私あのエピソードをきっかけに『星の子』を買いました」とか、「これから読み始めます」とか、「今読んでます」っていうようなコメントたくさんいただいたんです。
あれからずいぶん間があいてしまって、私この五か月ぐらいで結構たくさん日本語の小説を読んだんですね。読んだ理由は、理由はっていうか、本当に時間があったんです。去年の12月、2022年の12月3週間日本に帰っていた時に仕事しなかったので、本当にずっと本を読んでいました。一番好きな場所は本屋さんなんだから、本屋さんに行っては小説を買ってね、ずっとずっと読んで。だから2022年の12月から今2023年の3月なんだけど、その間にですね、7冊日本語の本を読んだんですね。それ、たまたま時間があっただけなんですけど、本当にその読んだ本の中でとてもいい本が何冊かあったので、ちょっとこれから少しずつ取り上げていきたいと思っています。
皆さん、本を読んでますか。これも何度も言うことなんですけど、言語が上手になればなるほど読書って欠かせないと思うんですよね。皆さん、最初の一冊ね、本当のこの小説を読むのは難しいのは当然です。当然。私もそれを英語とかで経験しました。でも、それを乗り越えたところにね、その先があるんですね。なので、本を読むということ、やったほうがいいなあと私は思いますよ。
それでは「カラフル」、森絵都さんの「カラフル」ですね。まずは簡単にネタバレ。ネタバレなんですけど、「僕」、名前は分かりません、「僕」としか出てこない。この「僕」が主人公。この僕は死んでるんです。魂なんですね。ちょっと変な話、ファンタジーですね。
でもその魂の前にですね、突然天使が現れるんです。天使が「おめでとうございます!あなたは選ばれました」、「抽選で選ばれました」みたいなことを言うんですね。何それ。よくよく聞いてみると、その天使が言うにはですね、「あなたもう一回人生やり直すことができますよ。でもやり直す方法は、ある少年、真、真という少年の体にあなたの魂を入れます」。
この真は自殺を図った少年で、死んでないんだけど、その真を通してどうして真がこんなことをしなければいけなかったのか、原因を追究して、そして真を助けるというか、人生を見つめなおしてくださいというミッションを与えられるわけです。セカンドチャンス、真として。僕は選ぶこともなく、じゃあ仕方がないみたいな感じで、真の中に「僕」という魂が入っていって、僕が真の体を通して人生を経験していく。そして真はどうして自殺をしたのかっていうことを見つけていく話なんです。
うまく説明できたかな。ファンタジーだよね。でね、これまず皆さんにおすすめするのは非常に読みやすいです。テーマは自殺だったり家族のいろいろな問題だったり思春期の心の葛藤だったりかなり重いテーマではあるんですけど、非常に軽い書き方で読みやすい。なのでN3、JLPT N3はちょっと難しいかな。やっぱりN2以上だと思うんだけど、「小説を読みたいわ」っていう方ね、この森絵都さんの「カラフル」をおすすめします。
そして紙の本、できるなら、なぜならですね、とてもかわいい単行本で表紙がカラフルなイエロー、黄色なんですね。本当にかわいいです。持っていてかわいい本なんですけど。タイトルどおり、カラフル、本当に意味があると思って、人生いろいろじゃない?みんな。いろいろな暗い歴史もあり、過去もあり、いろいろな人がいて、でも、自分の生き方はそれでいいんだ。自分の色があるんだよっていうなんか意味が込められているはずなんですね。全部読んでみると。
読んでみたらこういう重たい、いろいろなんか自殺とかっていうテーマが出てくるんだけれども最後なんとなくやっぱり納得する、すっきりする。そして、前向きに「今日も明日も頑張ろうか」みたいな気分にさせてくれる内容です。ただ正直ね、私は読んでいて途中で想像できた、結末が。「あ、こういうことだろうな」って。結局そのとおりだったから物凄い凝ったサプライズはなかったですね。なので、この本を読んでなんか「わー」って思いたいっていう人は、実はこの本をおすすめできない。だけれども、軽い気持ちで読んでみたい、そして人生いろいろあるよね、でも今日も僕は頑張るよ、みたいなことを考えたいと思う人にはこの「カラフル」をお勧めします。
皆さん、人生やり直すことができると思いますか。死んでしまったらやり直しはできないと思います、本当に。ただ、これ、ファンタジーだから死んだ魂が生きてる人間の中に入っていくという話になってますけど、死ぬという選択をする前にですね、やっぱりもうちょっといろいろ考えてみてほしいなあと思うんですよね。私はそう言うとね、「のりこさんは強いから」とか、「のりこさんは明るいから」、「うまくいくんじゃない、あなたの人生は」って思われてしまうかもしれないけど、私そんなことないんですよ。私今までいろんな大変なことありました。あったけど何とかなりました。そういうことだと思います。
人生って何とかなりますよ。でも、これでもね、若い人はたぶん気づかないんです。私みたいに人生半分生きちゃった人はですね、そう思ってると思う。何とかなったよねって。ただやっぱり年頃の、10代の若者は悩むことが多いかもしれない。なのでこの「カラフル」は児童文学とも呼ばれてますね。なので、その思春期の、10代の若者が読むと、もっとがっつり「わー」とこう感動する部分があるかもしれない。私みたいなおばさんが読むとね、いまいちちょっと心に響かなかったです。
ただ、本当に、本当に読みやすい。あっさりして読みやすいので、しかもぶ厚くないですね。情報によるとページ数、文庫本の小さいこの単行本のページ数は259ページです。これ、多いほうじゃないですよ。なのでチャレンジしてみるにはいいかもしれないんですね。現に、私の生徒さん、3人の人、これ読みました。最後まで読み切りました。だから皆さんも頑張れば読み切れる本です。小説です。
最後に真面目な話なんですけど、人生ってやっぱりさっきも言ったようにいろいろあります。話せないような秘密もあれば大失敗してしまった過去、これからも何が起きるか分かりません。世の中は。ただ、皆さん本当にいいこと考えてください。考え方、見方、あなた次第、私次第だと思います。
最後に、最近ね、とてもいい言葉を聞きました。これは私のコミュニティJapanese Togetherの中で、ある生徒さんが写真とともにこのメッセージを教えてくれたんです。これは彼女が日本に旅行している時に多分あるお寺に行って、そのお寺の中に書いてあった言葉だと言っていたかな。読みますよ。「不幸とは幸せだと気付かないこと。不幸とは幸せだと気付かないこと」、すばらしい励ましの言葉ですね。私はこれを読んだときに改めてそう思って感動しました。本当に心に響きました。
ついつい私たちは小さいことで文句を言ってますね。いろんなことで文句、不満を言ってる。「あれが嫌だ」、「これが嫌だ」。あとは他の人と比べて「あの人、あんな人生いいなあ」「羨ましい」ついついなんか不満とか文句とかそういうネガティブなこのばかり考えちゃうんだけれども、いかに私自身が恵まれているかっていうのを忘れてしまうことがありますよね。皆さん、ぜひぜひね、自分のいる環境に感謝して。本当に自分がいかにラッキーなのか、恵まれているのかっていうことを考えてみるのもいいかなと思ったんです。
なので、なので、このね、もう一回小説の話になるんだけど、「僕」という魂は真の中に、体に入り込んで、真の人生を経験して気づいていくんです。「こういうこと、いろいろあったけども、なんてことないよ」と。自分だけじゃなかったんだと。そしてやっぱり今日も明日もやっていこう。生きていこうって思うようになっていくんですよね。うまく説明できなかった。なんか変な話になっちゃったね、ごめんなさい。でも、おすすめの小説です。カラフル。カラフル。
それでは今日はここまでです。またね、時間があるときに私が読んだ本で本当に好きだった本を紹介したいと思います。それではまたね。