162.可愛い子には旅をさせろ
みなさん、こんにちは、日本語の先生のりこです。
今日も、ことわざを紹介します。ある生徒さんから、「ことわざが好きだから、もっとことわざについて話して下さい」とリクエストをもらったんですね。
今日私が選んだことわざは、「可愛い子には旅をさせよ」。「可愛い子には旅をさせよ」ということわざです。
自分の子供が可愛い。可愛いから、大切にしたいという気持ちも分かるけれども、かわいいのなら、甘やかさずに、世の中の厳しさを、早くからもっと経験させなさい。その方がいい、ということわざです。
どうでしょうか。
日本は、このことわざ、よく使うんですよ。
例えば、小さい自分の子供に、早くから一人でおつかいに行かせます。おつかいっていうのは、お母さんが子供に、お金を渡して、「え、ちょっと牛乳を買ってきて」とか、えー、あ、うーん、「お塩がなくなったから、お塩を買ってきて」とか、買い物を頼むんですね。
これが「おつかい」というんですけれども、日本では小さい子供におつかいに行かせることが多いんです。わたしも子供のときに、近所のお店に一人でよく行かされました。
また、子供、日本の子供は、都会に住んでいる、大きな町に住んでいる子供は、子供だけで、一人だけで、電車に乗って学校に通学する、ということがよくありますね。
治安が危ない、あと、変な人がいる、そんな心配もあるかもしれないけれども、学校は一人で行きなさい。自分で電車に乗って行きなさい。7歳・8歳の子供が、一人で通学する様子を、よく電車の中で見かけます。
これはごくごく普通のことなんですね。日本では、可愛い子には旅をさせます。甘やかさない、自分で行動させるんですね。
もちろん、ま、これに関しては、その国の、ま、考え方やカルチャーや治安の問題がありますね。え、危ない国ではやっぱり、車で送り迎えをする方がいいでしょう。でも日本は、ま、そういう犯罪が少ない国でもありますから、子供だけで、電車に乗って通学するっていうことがあるんです。
皆さんは一人旅をしたことがありますか。子供の時に一人旅をしたことがありますか。
私の初めての一人旅は、小学校の4年生か5年生の時ですね。私は妹と一緒に、田舎のおばあちゃんの家に旅行に行ったんです。二人だけで行きました。電車は2回乗り継がなければいけません。
電車の乗り継ぎは複雑です。でも私のお母さんが、メモに、ノートに、「何番ホームで何時何分の電車に乗り換えなさい」「駅はなになに駅で降りなさい」そう書いてくれたノートをくれました。
それを見て三つ年下の妹と一緒に、夏休みおばあちゃんちへ二人だけで行ったんです。それが初めての一人旅、ま、一人旅じゃないね。妹がいるから。でも子供だけの旅行をしたのは、その時が初めてです。
行きも帰りも自分たちで行って帰ってきました。片道がたぶん、そうですね、電車を乗り換えなきゃいけなかったから、たぶん、2時間ぐらいかかったでしょうか。
ね、たぶんそんな話をすると、外国に住んでる人は、びっくりするかもしれません。ね、小学生の子供が、子供だけで旅行するなんて危ない。
うん、でも、意外とそんなことよくあるのが、日本なんですね。可愛い子には旅をさせよ。ね、守るだけじゃなくって、世間の厳しさを体験させて、勉強させるほうがいい。甘やかさない、という考え方のことわざです。
はい、それでは今日はここまでです。また明日。